2025/12/04 17:51
― ナノエマルション技術で高まる新しい可能性 ―
最近注目されているのが、精油を超微細化して水系に安定分散させる「ナノエマルション技術」です。
今回紹介する研究は、ローズマリー精油のナノエマルション化と、その口腔ケア製品への応用可能性を調べた最新の in vitro 試験です。
1. 研究の目的
ローズマリー精油のナノエマルションを作成し、以下を評価しました:
・唾液との相性
・歯面への広がり(ウェッタビリティ)
・抗酸化作用
2. ナノエマルション化したローズマリー精油の特性
● 安定したナノエマルションが完成
・粒子径:29〜176nm
・PDI:均一性あり
・ζ電位:−2.48〜−11.0mV
3. 唾液となじみやすく、使いやすい
人工唾液と混合すると粘度が低下し、口腔内で広がりやすくなります。
一方で適度な粘度が保持されるため、歯ぐき・歯面への滞留性も確保されます。
4. 歯の表面に“理想的に広がる”
エナメル質の接触角は25〜30度で、過度に広がらず適度に付着します。
グラスアイオノマーは濡れやすく、コンポジットは疎水性が強い傾向にあります。
5. 高い抗酸化作用(口腔トラブル予防に期待)
・IC50 = 9.06 µL/mL → 強い抗酸化作用が確認されました。
6. 結論:口腔ケア応用の可能性
ローズマリー精油のナノエマルションは以下の特徴を持ち、口腔ケア製品に応用可能です:
・唾液と混ざりやすい
・歯面に適度に広がる
・抗酸化作用が高い
7. 一般の人はどう使えばいい?安全で効果的な使い方
● ① アロママウスウォッシュとして使う場合
精油をそのまま水に垂らすのはNG(刺激性が高い)
【安全な作り方】
・植物性グリセリン 小さじ1
・ローズマリー精油 1滴
・水 100mL
グリセリンに精油を混ぜ、水を加えてよく振る。
※必ず吐き出すこと。
● ② 歯ぐきのマッサージオイルとして使う
【材料】
・ホホバオイル 小さじ1
・ローズマリー精油 1滴
綿棒で歯ぐきを軽くケア(週2〜3回)。
● ③ 蒸気吸入でのケア(もっとも安全)
マグカップのお湯(80℃以下)に1滴。
口〜鼻を自然に近づけ、蒸気をゆっくり吸い込む。
● ④ 市販の口腔ケア用品に1滴だけ混ぜる
アルコールフリーのマウスウォッシュやジェルに1滴加えると、香りが自然で爽やかに。
● 禁忌・注意点
・原液を口に含まない
・粘膜への直接塗布は避ける
・妊娠中・てんかんの人は医師に相談
・子ども(6歳以下)への直接使用は不可
8. Medessenceローズマリー精油の特徴
・GC/MS成分分析済み
・抗酸化・抗菌性が期待できるプロファイル
・アルコールフリー製剤との相性◎
9. ローズマリー精油を使うメリット(研究にもとづく要点整理)
● ① 強力な抗酸化作用で歯ぐきの炎症を抑える
ローズマリー精油はIC₅₀=9.06 µL/mLという強い抗酸化活性を示し、歯ぐきの炎症や口臭原因物質(VSC)対策に役立ちます。
● ② バイオフィルム(歯垢)形成を抑える可能性
主要成分カンファーが強い抗バイオフィルム作用を示し、虫歯や歯周病菌の付着を阻害します。
● ③ 抗炎症作用により歯ぐきの腫れ・痛みを軽減
NF-κB抑制を通じて炎症を抑える作用が確認され、口内炎や歯肉炎のケアに適します。
● ④ 鎮痛作用で口腔の不快感を和らげる
抗ノシセプション(抗痛み)作用があり、歯ぐきの刺激感の緩和に寄与します。
● ⑤ 歯面に均一に広がる“理想的な拡散性”
エナメル質に25〜30°の角度で広がり、歯の表面に均等に作用します。
● ⑥ アルコール不要の口腔ケア製品に最適
唾液となじみ刺激が少なく、敏感な人にも使いやすい天然成分です。
引用文献
Pavlović N, et al. “Physicochemical properties of rosemary essential oil-based nanoemulsions and their implications for oral health: proof-of-concept in vitro studies.” Journal of Essential Oil Research. 2025; 37(3–4): 249–261.

