2025/12/08 14:24

血液がん患者を対象にした最新臨床試験を解説

 

がん治療、とくに化学療法は身体だけでなく心にも大きな負担をもたらします。

中でも「疲労」と「睡眠障害」は、がん患者が最も多く抱える悩みの一つです。

 

今回紹介する論文は、血液がん患者100名を対象に、

ラベンダー精油の吸入が睡眠と疲労にどの程度効果があるのかを明らかにした

2025年発表の最新ランダム化比較試験です。

 

研究の概要

論文名:

“The efficacy of lavender oil on fatigue and sleep quality in patients with hematological malignancy receiving chemotherapy”

(血液がん患者の疲労と睡眠の質に対するラベンダー精油の有効性)

 

対象

・血液がん患者 100名(介入50名・対照50名)

・全員が化学療法中

 

方法

・ラベンダー精油を肩に置いたスポンジで吸入(20×5日間)

・対照群は生理食塩水を同じ方法で吸入

・評価指標:

 - 睡眠:RCSQRichard-Campbell Sleep Questionnaire

 - 疲労:PFSPiper Fatigue Scale

 

結果:睡眠の質が大幅に改善

・ラベンダー群:70.8 ± 16.9

・対照群:59.1 ± 17.8

p = 0.001

 

p(有意確率)とは、統計的に「偶然ではない」と判断するための指標で、

一般的に **p < 0.05** で「有意差がある=効果に信頼性がある」と解釈されます。

この研究では p = 0.001 と非常に小さい値のため、

ラベンダー精油による睡眠改善は高い信頼度で示されたと言えます。

 

特に改善が大きかったのは:

・睡眠の深さ(p < .001

・寝つき(p = .002

・夜間覚醒(p = .002

 

結果:疲労(Fatigue)が有意に軽減

・ラベンダー群:4.54 ± 1.16

・対照群:5.51 ± 1.64

p = 0.001

 

結果:睡眠改善が疲労軽減に寄与

回帰分析では、

「ラベンダー吸入」と「睡眠改善」が

患者の疲労の 17.1% を説明(R² = 0.171

 

研究者の結論

・ラベンダー精油吸入は睡眠の質を改善する

・疲労(Fatigue)を統計的に有意に軽減する

・副作用なし、安全性が高い

・看護師が独立して行えるケアとして有効


引用文献

Yildirim D, Ozdogan MH, Erdal S, et al.

“The efficacy of lavender oil on fatigue and sleep quality in patients with hematological malignancy receiving chemotherapy: a single-blind randomized controlled trial.”

Supportive Care in Cancer. 2025;33:79.