2025/12/08 14:56
― 70研究をまとめた最新レビューから分かったこと ―
アロマテラピーは「香りでリラックスする」というイメージがありますが、実際には脳・自律神経・ホルモン・痛みなど幅広い領域に作用します。
今回紹介するレビュー論文は、2012〜2022年に行われた70本以上の研究を統合し、精油が神経系へどう働くかをまとめたものです。

■ 1. 香りが脳へ届くしくみ
香りの分子は鼻から入り、嗅上皮 → 嗅球 → 大脳辺縁系(扁桃体・海馬)へ直接伝わります。
ここは感情・記憶・ストレス反応を司る脳領域で、精油は数秒で作用します。
■ 2. 自律神経への影響(最もエビデンスが強い領域)
副交感神経を高める精油:
・ラベンダー
・ベルガモット
・ローズ
・ユズ
・ヒノキ
・ゼラニウム
・コパイバ
・ローズウッド
・ジュニパー
交感神経を高める精油:
・ペパーミント
・グレープフルーツ
・シナモン
・ローズマリー
■ 3. 脳波(EEG)への作用
・ラベンダー:アルファ波増加(リラックス、入眠改善)
・ペパーミント:ベータ波増加(覚醒、集中)
■ 4. 感情・ストレス・不安の改善
不安やストレスの軽減が多くの研究で報告されています。
有効だった精油:
・ラベンダー
・ベルガモット
・ローズ
・ネロリ
・シトラス類
・マジョラム
・ジュニパー
コルチゾール低下を確認した研究も複数あります。
■ 5. 痛みの緩和
・ラベンダー、ベルガモット、レモンバーム → 痛みの軽減
・シトロネロール → 顔面痛の緩和
■ 6. 認知機能の向上
・ローズマリー:AChE阻害による記憶改善
・ペパーミント:作業効率向上
・スペアミント:認知タスク成績向上
高齢者の軽度認知症の改善報告もあります。
■ 7. 精油成分の直接作用
神経伝達物質への作用が報告されています:
・GABA受容体(鎮静)
・NMDA受容体(興奮)
・セロトニン5-HT1A
・カルシウムチャネル
特にラベンダーのリナロールはGABAを活性化し、不安を軽減する作用があります。
■ まとめ
・精油は脳と自律神経へ強く作用し、即効性がある
・リラックス系・覚醒系の両タイプが存在する
・不安、ストレス、痛み、睡眠に有効
・認知機能改善の可能性もある
・成分レベルで神経系に作用するケースも多い
精油は“香りの癒し”を超えた、科学的根拠を持つ自然療法と言えるでしょう。
■ 引用文献
Sattayakhom A, Wichit S, Koomhin P.
“The Effects of Essential Oils on the Nervous System: A Scoping Review.”
Molecules. 2023;28:3771.

