2025/12/19 15:39

科学論文が示した心・体・社会面へのやさしい作用

月経前になると、気分の落ち込み、イライラ、むくみ、乳房の張り、集中力の低下など、さまざまな不調を感じる方は少なくありません。これらの症状はPMS(月経前症候群)と呼ばれ、世界中の女性の3080%が何らかの症状を経験すると報告されています。


近年、こうしたPMSに対して、ダマスクローズ(Rosa damascena)精油を用いたアロマセラピーが有効である可能性を示す、質の高い臨床研究が報告されました。

■ PMS(月経前症候群)とは?

PMSとは、排卵後から月経開始前(黄体期)にかけて現れる、身体的・精神的・社会的な不調の総称です。気分の落ち込み、不安、イライラ、疲労感、集中力低下、下腹部の張り、乳房の痛み、頭痛、むくみ、対人関係のストレスなどが含まれます。

注目された研究デザイン(エビデンスの質)

本研究は三重盲検ランダム化比較試験(triple-blind randomized controlled trial)という信頼性の高い方法で実施されました。対象はPMSを有する女子大学生64名で、ダマスクローズ精油(4%)の芳香浴を15分、12回、月経前5日間、2か月継続しました。対照群には無臭のスイートアーモンドオイルが用いられました。

評価指標:心理・身体・社会面を包括的に評価

本研究では心理的症状、身体的症状、社会的機能の3側面を含む標準化質問票を用いてPMSを評価しています。

エビデンス心理的症状

不安、抑うつ気分、イライラ、緊張感といった心理的症状が、ローズ精油群で有意に低下しました(P0.001)。

エビデンス身体的症状

乳房の張り、腹部不快感、むくみ、疲労感などの身体的症状も有意に改善しました。

エビデンス社会的機能

対人関係のストレスや日常生活への支障といった社会的側面のスコアも低下しました。

エビデンス④ PMS総合スコア

心理・身体・社会面を統合したPMS総合スコアは、2か月後に統計学的に有意な低下を示しました。

作用機序の考察

ダマスクローズ精油の鎮静作用、抗不安作用、自律神経調整作用が、辺縁系やGABA神経系を介してPMS症状に影響した可能性が考察されています。

安全性と限界

重篤な副作用は認められず安全性は高いと考えられますが、対象年齢や使用条件に限界があり、今後の研究が望まれます。

まとめ

本研究は、ダマスクローズ精油の芳香浴がPMS症状の軽減と関連することを示した、信頼性の高いエビデンスです。


引用文献

Mahmoodi, Z., Shabanian, S., Mehran, N., Shafieian, Z., & Jahanfar, S. (2016). Evaluation of aromatherapy with essential oils of Rosa damascena for the management of premenstrual syndrome. Journal of Research in Medical Sciences, 21, 81. doi:10.4103/1735-1995.192498