2025/12/23 10:37

ラベンダー精油の「品質」がすべてを決める 

科学が明かす、香りの真の力

香りブームの裏にある見えない違い


アロマテラピーが広く知られるようになった今、私たちは「ラベンダー=リラックス」と信じて疑わなくなっています。 
しかし、どんなラベンダー精油を使うかによって、その効果は大きく変わる可能性があります。

イタリア・ピサ大学の研究チーム(Malloggi, 2022)は、世界中のラベンダー精油に関する研究を精査し、精油の品質や成分分析の違いが、心理的・生理的効果に直結していることを指摘しました。

精油の品質とは何か?


精油の「品質」は単なる香りの良さではなく、化学的な構成・抽出方法・保存条件などによって決まります。

ラベンダー精油(Lavandula angustifolia)の場合、注目されるのが次の2成分です:
-
リナロール(Linalool):神経を落ち着かせる作用
-
リナリルアセテート(Linalyl acetate):鎮静・抗不安効果

この2つの比率(約3035%ずつ)が最も重要であり、抽出法や保存状態で香りや薬理効果が変化します。

品質を左右する3つの科学的ポイント

抽出方法:熱や溶剤が香りを壊す 
水蒸気蒸留法で抽出されますが、温度や圧力が高すぎると有効成分が分解。 
熱を使う拡散器では酸化や変質が起きやすく、低温・密閉環境での拡散が理想です。

成分の分析:GC–MSによる品質証明 
Malloggi
らは、ガスクロマトグラフィー質量分析(GC–MS)による成分分析を確認しましたが、報告していた研究はごく一部のみ。 
リナロールとリナリルアセテートのバランスが取れた研究では、生理的変化が明確に観察されました。

拡散方法:香りの伝わり方が結果を左右 
直接拡散(鼻近くで吸入)と間接拡散(部屋全体に拡散)で結果が異なります。 
前者はプラセボ効果の影響、後者は濃度の不安定さが課題でした。

品質と効果の関係

品質の高い精油を正しい方法で吸入するほど、認知機能(注意・記憶)や生理的鎮静に一貫した効果が見られます。 
安定した成分+適切な拡散+科学的品質管理の三拍子が重要です。

まとめ:ラベンダーの癒しは「科学」で磨かれる

香りの力は分子レベルの科学現象。品質が低い精油では不安定な化学成分や酸化物が作用することも。 
選ぶべきは「成分分析済み」「Linalool/Linalyl acetate比の安定」「低温抽出」の精油。 
それが、心にも脳にも働く「本物のアロマ」です。

参考論文 

Malloggi, E., Menicucci, D., Cesari, V., Frumento, S., Gemignani, A., & Bertoli, A. (2022).
Lavender aromatherapy: A systematic review from essential oil quality and administration methods to cognitive enhancing effects.
Applied Psychology: Health and Well-Being, 14(2), 663–690. 
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/aphw.12310