2025/12/29 16:21

更年期に入ってから、「突然ほてる」「理由もなく不安になる」「眠れない」「体がだるい」といった変化を感じる方は少なくありません。

これらの症状は気のせいや性格の問題ではなく、ホルモン変動と脳・自律神経の調節機構の変化によって説明できる状態です。

 

Medessenceでは、更年期障害を「女性ホルモンが減ることによって起こる不調」と単純化せず、論文で示されている生理学・神経科学の視点から捉えています。

 

更年期とはどのような時期か

更年期とは、一般に閉経の前後約10年間(おおよそ4555歳前後)を指します。

この時期、卵巣機能の低下に伴い、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が大きく変動します。

重要なのは、更年期に起こる変化は「ホルモンが少しずつ減る」ことではなく、不規則で振れ幅の大きい変動が起こる点です。

このホルモンの揺らぎが、体と脳に大きな負荷をかけます。

 

更年期障害は「ホルモン低下」だけでは説明できない

更年期障害は、エストロゲンが減ることによって起こると説明されることが多いですが、実際にはそれだけでは症状の多様性や強さを説明できません。

複数の臨床研究では、症状の強さや出現頻度は、ホルモン量そのものよりも「変動の不安定さ」と強く関連していることが示されています。

つまり更年期障害は、内分泌(ホルモン)と神経系の調節がうまくかみ合わなくなる状態と捉える方が、実態に近いといえます。

 

中心にあるのは視床下部と自律神経

更年期障害を理解するうえで重要なのが、脳の視床下部です。

視床下部は、体温調節、自律神経の切り替え、ホルモン分泌の司令、情動反応の調整を一括して担う生命維持の中枢です。

エストロゲン受容体は視床下部に多く存在しており、ホルモン変動の影響を非常に受けやすい構造になっています。

そのため、更年期のエストロゲン変動は視床下部の調節機能を不安定にし、自律神経のバランスを崩しやすくします。

 

なぜ症状が多彩に現れるのか

更年期障害では、ホットフラッシュ、のぼせ、発汗、動悸、不安感、不眠、めまい、頭痛、慢性的な疲労感など、非常に多彩な症状がみられます。

これらはそれぞれ別の病気ではなく、視床下部と自律神経の調節不全が複数の身体システムに同時に影響することで現れる反応です。

そのため、日によって症状が違う、同じ人でも時期によって主症状が変わるといった特徴が見られます。

 

ストレスで悪化しやすい理由

更年期の体はすでに自律神経が不安定で、交感神経が過敏になりやすい状態にあります。

この状態で心理的・社会的ストレスが加わると、交感神経活動がさらに高まり、ほてり、動悸、不安、不眠といった症状が強く出やすくなります。

これは気の持ちようではなく、生理学的に説明できる増幅反応です。

 

Medessenceが考える更年期との向き合い方

Medessenceでは、更年期を「衰えの時期」ではなく、「神経調節を再構築する移行期」と捉えています。

重要なのは、体に起きている変化を正しく理解し、我慢するのではなく整える視点を持つことです。

香りは嗅覚を通じて、視床下部や自律神経に直接情報を届ける数少ない感覚刺激であり、更年期においては神経の緊張をゆるめる補助的な手段として研究対象になってきました。

 

まとめ

更年期障害はホルモンと自律神経の調節障害です。

症状の多様性には明確な生理学的理由があります。

更年期は再調整の時期であり、適切な理解とケアによって変化は緩和できます。

Medessenceは論文に基づく視点を大切にしながら、更年期という大きな変化の時期に寄り添う情報と選択肢を提供していきます。


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